マンツーマンで楽しむ英会話
「生まれつき」もよく出てくる言葉で、形容詞ならinborn副詞として使うならbynatureという表現を使うといい)西洋の社会では、胎児とか新生児が持っている潜在的な能力は、おおかた無視されてきたんです。
赤ん坊にはまるで意識がない、という考えが一般的だったからです。
これは、フロイトが書いたことが、『子どもの心は3、4歳まで育たない』などという誤解を生んできたからです。
フロイトは近代精神医学の先駆者としてあまりにも有名だから、お客様もだいたいは知っている。
もっとも、Iさんの話の中には、知らない学者の名前などが突然出てくることがあるから要注意だ。
東洋思想の話で、「孔子」や「老子」が初めて出てきたときはまいったな。
孔子はConfucius「カンフューシヤス」、老子はLaotsu「ラオツー」なんだよね…)これに対して東洋では、赤ちゃんがまだおなかの中にいるときから、お母さんの影響を強く受け、赤ちゃんもそれに反応できるものと考えています。
西洋科学では迷信として退けられてきたこの胎教という考え方を、東洋の社会では昔から代々、受け継いできました。
(prenataleducation=「胎教」もよく出てくるキーワード。
「お母さんのおなかの中」はつまり「子Mの中」= inthewombでいいだろう。
西洋社会では無視されてきたのに東洋では受け継がれてきた、ということも一概には言えないかもしれないけど、東洋と西洋を対比させて説くのはIさんのスタイルだからなあ…)古代の仏教の経典では、受胎から誕生に至る胎児の発育段階を5段階に分けていました。
これは、胎児の成長や心の育ち方を示したもので、その見方には現代医学にも匹敵するものがあります。
(「受胎」という言葉も最初は知らなかったが、これはnceptionだ。
「胎児」はla)今日では超音波診断装置のおかげで、胎児が母親の感情にどれほど影響を受けているか見ることができます。
赤ちゃんはけっして無力、無意識、無感覚な存在などでなく、まだ母親の胎内にいるときからすでに心を持った『人間』であることがわかります。
(超音波診断装置はanultrasonicscannerでいい。
CT〈computerizedtomography〉スキャナーなどという医学用語は、最近では日本語でも使われるようになってきた。
でも、Iさんはときどき「核磁気共鳴CT」〈nuclearmagneticresonanceCT〉などという最先端の診断装置の名前まで口にするから、通訳するこちらとしてはまいっちゃう)赤ちゃんは、お母さんが何度も繰り返すものを自然に受け入れるようになります。
たとえば、ミルクを与えている間にも赤ちゃんをあやしたり、赤ちゃんの目をじっと見ること。
赤ちゃんがバブバブと話していたら、それに応えてあげます。
こういったコミュニケーションを繰り返すことによって、赤ちゃんは母親の愛情を知り、愛されること、満足することを学ぶのです。
こうすることによって、愛する心が身につきます。
赤ちゃんの脳は、生後1年で急速に発達します。
つまり、子どもの成長にとってきわめて重要な時期は、せいぜい生後1年まででね。
この『O歳』という重要な時期を逃さないことを、お母さんがただけでなく、世の多くの人に知ってもらって、子どもたちの健全な心を育み良い人間に育ててほしいと思うわけです。
私が通訳したIさんの話はざっとこんな具合であった。
通訳した時間は、時と場合によっても違うが、長いときで1時間から1時間半くらいに及んだだろうか。
通訳の仕事は相当の集中力を要するので、疲れ気味のときなどは、けっこうしんどかった。
私もまだ20代だったからできたワザかもしれない。
Iさんはいかにも技術者らしく、自ら主宰する幼児開発協会での実験例や雑誌に出ていた記事なども、話の中でよく引用していた。
新しい話についていくのは確かに一苦労であったが、またそれだけに自分自身にとっても知的好奇心を刺激される内容であった。
王様はバスに乗ってきた1990年3月には、スウェーデンのカール16世グスタフ国王陛下が東京のソニー本社を訪問されることになった。
Iさんはかつて、スウェーデン王立理工学アカデミー(IVA)から招待を受けてH氏らとともに日本の財界人による代表団を組んで同国を訪問したことがあった。
今度は、スウェーデンの財界人などが構成する代表団が、いわばその答礼として来日し、各企業を訪問して回ることになったわけである。
その代表団を率いるのがなんと、スウェーデンの国家元首であられる国王陛下ご自身なのである。
ソニーでは、その昔、昭和天皇を会社にお迎えしたことなどもあったそうだが、Iさんの英語屋を務めて4年目の私にとって、「王様」をお迎えするのは初めてだった。
かつて漫画や子ども向けの物語の挿し絵などで見た「王様」は、豪華なビロードのマントのようなものをまとい、手には王笏を持ち、頭には王冠をかぶって歩いていた。
態度は鷹揚そのもので、気に入ったことがあると「勲章を授けるぞよ」などと言っては、星の形をした勲章を取り出して相手に渡す。
王様が来られると聞いた私は、思わずそのような絵を想像してしまった。
それはともかく、代表団一行が来訪するという連絡を受けた私たちは、さっそくVIP応接の準備にとりかかった。
王族の接待という意味では前にも経験があったし、例によってVIP応接担当のベテラン課長の指示を仰ぐことができる。
それほど緊張することもないだろう。
ところが、今回はさすがに一国の元首のご来臨である。
ソニーからは結局、I名誉会長をはじめ、M会長、M副社長、Y常務、S津理事(いずれも当時)と、そうそうたる重役陣が出迎えることになった。
おまけに、今回来社するスウェーデン代表団の人数は30人余り。
これは大がかりだ。
こうなると、たとえ非公式な訪問とは言っても、VIP応接スタッフ一同、よくよく心して取り組まなければならない。
見学を受け入れるソニー本社の展示室「メディアワールド」でも、機材の点検やデモンストレーション用のプログラムの準備に大わらわであった。
スウェーデンからの代表団一行を出迎えるにあたって、困った問題がひとつ起きた。
国王陛下も他のメンバーと一緒に、貸し切りのバスに乗って来られるというのだ。
元首たるもの、当然、黒塗りの高級車に乗ってくるものと思っていた私たちにとって、これはちょっとした驚きであった。
ところが、メディアワールドのある本社第2ビルの正面玄関は直接、公道に面していて、車寄せがない。
賓客や重役は地下駐車場に車を乗り入れていたが、大型バスは当然これない。
オフィスの外は安全上も問題があるので、スタッフの事前打ち合わせでは、バスから降りた一行をすぐに1階のロビーまで誘導して、ソニーの重役陣にはそこで出迎えてもらうように段取りを組んでおいた。
ところが、ところが、である。
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